今回から5回に渡って昨年の10月から施行された確定拠出年金についてご説明します。まずは、その概要からです。
平成13年8月に書かれたコラムです。現在の法律とは異なる場合があります。ご注意ください。
確定拠出年金というものが導入されたようですが、いったいどんなものなのでしょうか?私にも関係あるのでしょうか?(40歳、自営業)
◆始動、確定拠出年金
平成13年6月22日、「確定拠出年金法案」が可決され、10月1日から施行されることとなりました。
年金制度は大きな転換期を迎えました。この確定拠出年金、どのような年金なのでしょうか。
◆現行の年金制度と確定拠出型年金
少子高齢化や長引く不況、さらに超低金利政策などにより公的年金やそれを補完すべき企業年金は縮小傾向にあります。このままこれら確定給付型の年金だけに頼っていたのでは、老後の収入が心許ない額になっていくばかりです。そこで、公的年金に上乗せする新たな選択肢として登場したのが確定拠出年金です。
確定拠出年金は、あらかじめ決められた掛金を自分で選択した金融商品に投資しながら運用して、老後の年金を築き上げる新しいタイプの年金です。
個人が掛金を積み立てて自分でそれを運用していく年金であるため少子高齢化に影響されず、国や企業にとっても年金積立金の不足がこれ以上ふくらまないというメリットがあります。
また、年金の積立金を個人口座で管理し、年金受給の時期やスタイルをある程度選択できるため、今後進むであろう雇用流動化や老後のライフスタイルの多様化といった社会環境の変化にも適応しやすい年金といえます。
◆広い加入対象
確定拠出年金には「企業型」と「個人型」の2種類があります。
「企業型」に加入できるのは企業型確定拠出年金を導入する会社に勤務する従業員のみです。「個人型」は、自営業者などの国民年金の第1号被保険者と企業型確定拠出年金も従来の企業年金も導入していない会社に勤務している従業員が対象となります。
ただし、60歳以上の人や第1号被保険者で保険料を滞納したり免除している人は加入できません。
また、今回の導入では共済年金に加入している公務員や専業主婦などの国民年金の第3号被保険者は加入対象者から除外されていますが、今後、各制度の改正などにより見直されるであろうと思われます。
◆ゆとりある老後に不可欠
こうした社会経済環境への適応性や加入対象の広さをとってみてもこの新年金が着実に普及し、ゆとりある老後を実現するために欠くことのできないものになるのはそう遠い話ではないでしょう。