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第4回 年金がもらえなくなるの?

コラムタイトル:年金がもらえなくなる?

さて、今回は「法律が改正されて、将来年金がもらえなくなるかもしれないって聞いたけどホントなの?」という悩める学生さんのご相談にお答えします。

平成12年4月に書かれたコラムです。現在の法律とは異なる場合があります。ご注意ください。

質問

私は就職活動中の大学3年生です。法律が変わってしまったために、若い人は65歳まで年金がもらえないことになったそうですが、一体どういうことなのでしょうか?(男性、21歳、学生)

回答

平成11年度末に年金改革法が成立したことにより老齢厚生年金(報酬比例部分)の支給開始年齢の引き上げが決定しました。

現行の制度では、厚生年金に加入していた人が60歳になると「特別支給の老齢厚生年金」と呼ばれる年金の支給が開始されます。この年金は、厚生年金の加入期間に基づいて計算される年金(定額部分)と加入期間中の報酬に基づいて計算される年金(報酬比例部分)の2種類の年金で構成されています。このうち定額部分については、平成6年に行われた改正で支給開始年齢の引き上げが決定しているため、男性は2001年、女性は2006年に60歳になる人から順に報酬比例部分のみの年金(部分年金)に切り替えが行われます

今回の報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げはこれに続くかたちで2013年から実施され、現在38歳以下の人の年金は、65歳まで支給されないことになります
では、生年月日別に各年金の支給開始年齢をまとめてみましょう。

昭和16年4月1日以前生まれの男性の場合
60歳からは特別支給の老齢厚生年金(定額部分・報酬比例部分)が支給され、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金に切り替わります。原則的に65歳前後の年金額に変更は生じません。

昭和16年4月1日以前生まれの男性の場合の式

昭和16年4月2日~昭和28年4月1日生まれの男性の場合
60歳から部分年金(報酬比例部分)が支給され、生年月日に応じて特別支給の老齢厚生年金に切り替わり、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。(平成6年改正)

昭和16年4月2日~昭和28年4月1日生まれの男性の場合の式

昭和28年4月2日~昭和36年4月1日生まれの男性の場合
生年月日に応じて部分年金が支給され、65歳からは老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。(平成11年改正)

昭和28年4月2日~昭和36年4月1日生まれの男性の場合の式

※女性の場合には、平成6年改正、平成11年改正ともに男性より5年遅れて実施されるため、各生年月日は5年遅いものになります。

このように、平成6年改正と平成11年改正が完了すると、65歳前の年金制度はなくなってしまい、昭和36年4月2日以降生まれの人(女性は昭和41年4月2日以降生まれの人)は、65歳にならないと年金をもらえないことになります。

年金制度が創設された頃と比べると、日本人の平均寿命は長くなりましたので、これも仕方のないことかと思いますが、一般的な定年年齢が60歳であることを考えますと、60歳から65歳までの5年間が無収入になってしまう心配があります。
これを受けて、大手企業各社では定年年齢の引き上げや雇用延長制度や再雇用制度の導入を急いでいます。また、政府も、これに配慮するかたちで国民年金から支給される老齢基礎年金の繰り上げ支給の減額率を縮小することを検討したり、老齢厚生年金の繰り上げ支給制度を創設するなどの対策を立てています。
しかし、雇用延長や再雇用、公的年金によりある程度の収入を確保できたとしても、悠々自適な暮らしとまでは行かないかもしれません。
ゆとりある老後を望むのであれば、個人年金や導入が予定されている日本版401kなどの活用も必要になってくるでしょう。

*この原稿は都市住宅新聞社刊「ぱりぶ21」に連載していたものに加筆して再編集したものです。

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