今回から3回に渡って夫婦の年金に関する相談にお答えします。今回は、夫が厚生年金に加入、妻が国民年金に加入のご夫婦の場合です。
平成12年5月に書かれたコラムです。現在の法律とは異なる場合があります。ご注意ください。
私は現在、老齢基礎年金(約80万円)と老齢厚生年金(約150万円)、経過的加算(約20万円)、加給年金(約29万円)を受給しています。妻は、今年65歳になり、老齢基礎年金(約50万円)を受給し始めます。妻が年金を受給し始めると私の年金の額が減ると聞きましたが本当ですか。
◆妻が65歳になると夫の年金は…
奥様が65歳になると加給年金が支給停止になります。なぜなら、加給年金は、老齢厚生年金の受給者が収入のない妻や子(18歳未満)を扶養している場合に支給されるものですが、奥様は、老齢基礎年金という収入を得ることになるので加給年金は必要ないというわけです。
◆加給年金は妻の年金へ振替
しかし、妻の老齢基礎年金は十分な収入ではないかもしれません。
相談者の奥様の場合には、老齢基礎年金の額が約50万円なので加給年金が支給停止になっても採算が合いますが、もし、老齢基礎年金の額の方が少なかったら、夫婦の年金収入は減ってしまうことになります。そこで、そんなことにならないように、夫の加給年金が支給停止になると、替わりに妻の老齢基礎年金にその分加算額が上乗せされる振替加算という仕組みがあります。これは、夫の老齢厚生年金の加給年金額の対象となっている妻が昭和41年4月1日以前生まれの場合に、妻の生年月日に応じた額が加算されるものです。
振替加算は、老齢基礎年金の額が加給年金の額より多い場合にも行われます。
◆夫婦の年金収入は増加
相談者の加給年金は支給停止になりますが、それ以外の年金は変わりなく支給されます。奥様の年金は老齢基礎年金に振替加算(約15万円)が上乗せされて支給されます。
よって、相談者の年金額は減りますが、奥様の年金と合わせると夫婦の年金収入は増えることになります。
《奥様が65歳になる前と後の夫婦の年金》