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第12回 年金の落とし穴

コラムタイトル:年金の落とし穴

「国民年金なんてあてにならない。まじめに保険料を納めたって自分がもらうときにはどうなっているかわからない。」このようなご意見をよく耳にしますが、じゃあ本当におさめなくてもいいのかしら。

平成12年11月に書かれたコラムです。現在の法律とは異なる場合があります。ご注意ください。

質問

「国民年金なんてあてにならない。まじめに保険料を納めたって自分がもらうときにはどうなっているかわからない。」と言う話を聞きました。それならいっそ納めるのをやめようと思います。大丈夫でしょうか。(25歳、フリーター)

回答

国民年金への加入について皆さんはどうお考えでしょうか。
充分な収入がないために保険料を納めることができない、または、公的年金制度の将来が不安だという理由で加入しないという方が年々増加しているようです。しかし、安易な保険料の滞納が取り返しのつかない事態を生む場合もあるのです。

●年金は老後のためだけではない
「国民年金なんてあてにならない。まじめに保険料を納めたって自分がもらうときにはどうなっているかわからない。」このようなご意見をよく耳にします。公的年金制度が財政の悪化という大きな問題を抱えているのは事実ですから、その将来性を悲観する方がいてもおかしくはありません。しかし、この考えには大きな見落としがあります。
「自分が年金をもらうとき」と言った場合に、多くの方は老後をイメージするのではないでしょうか。確かに公的年金には老後の生活を経済的に支える老齢年金もありますが、障害を負ってしまった後の生活を支える障害年金や、亡くなられた方の遺族の生活を支える遺族年金もあるのです。

● 障害年金、遺族年金の支給要件はシビア
例えば、次のような事例があります。
Aさん(25歳)は、3年間勤めた会社を辞め自宅で仕事を始めました。退職後、国民年金への変更の手続きをせずに数ヶ月が過ぎてしまったあるとき、不幸にも交通事故に遭い障害を負ってしまいました。働くことが困難になったAさんは市役所へ障害年金について相談に行きましたが、公的年金の加入可能期間のうち保険料滞納期間が3分の1より多いという理由で年金は支給されませんでした。Aさんの場合、保険料を納めた期間は就職中の3年間だけで、就職前と退職後の期間は保険料滞納期間となっていたのです。でも、もし退職後の保険料を納めていたら、結果は変わっていたでしょう。(遺族年金にもこの事例と同様の支給要件があります。)
60歳になった時点で要件を満たしているかどうかを判断される老齢年金は、期限までに帳尻を合わせることが可能ですが、いつ起こるかわからない事故に対して支給される障害年金や遺族年金の支給要件は事故が起きてしまったあとに埋め合わせることはできないのです。

● 最低限の保障を確保しよう
平成12年度の国民年金の年金支給額は804、200円(基礎額)で決して高額とはいえません。しかし、老齢年金は終身ですし、障害年金や遺族年金は、障害の程度や遺族の年齢などが支給要件を満たしているあいだは毎年支給されますので、万一の事態に対する最低限の保障といえるのではないでしょうか。
「自分が年金をもらうとき」はいつ訪れるかわからないのですから、これを機会にもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

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