前回に引き続き、夫婦の年金Part2です。今回は、夫婦ともに厚生年金に加入している方からのご相談です。
平成12年6月に書かれたコラムです。現在の法律とは異なる場合があります。ご注意ください。
妻の年金について教えてください。妻は、現在、厚生年金に加入しています。結婚前の厚生年金の加入期間と合わせると約18年ほどです。今後は私の扶養の範囲内で働き少し楽をしてもらおうと考えていますが、年金をもらうときにはどちらが得なのでしょうか?
(相談者:51歳、妻:49歳)
◆厚生年金は手厚いけれど
厚生年金は、国民年金より手厚い保障が約束されています。厚生年金に加入したことのある人の年金は、国民年金にしか加入したことのない人の年金よりも基本的な年金額が多くなります。
相談者の奥様が今後も厚生年金に加入すれば、奥様の年金額は増え、夫婦の年金収入は多くなるように思えます。ところが、夫婦の年金には加給年金という思わぬ伏兵がいるのです。
◆加入期間20年以上は加給年金がない
加給年金とは、20年以上の加入期間に対する老齢厚生年金の受給者に、年間収入が850万円未満の配偶者や子(18歳未満)がいる場合に支給されるものです。
相談者と奥様がともに20年以上厚生年金に加入した場合には、相談者と奥様の双方の老齢厚生年金に加給年金が付くことになります。しかし、夫婦の双方に加給年金が付く場合には、加給年金はともに支給停止となってしまいます。奥様の老齢基礎年金に加算される振替加算も行われません。
◆保険料の負担も考えよう
それにしても、奥様が厚生年金に長期間加入して、年金額が増えれば問題ないのでは、と思うかもしれませんね。しかし、長期間加入するということは、長期間保険料を納めるということです。将来の年金額は増えますが、それなりに負担も増えるわけです。
一方、奥様が相談者の扶養になった場合には、第3号被保険者ですから、保険料を納める必要はありません。
以上から相談者の奥様の場合には、厚生年金の加入期間が20年以上にならない方がお得だと思いますよ。
図:奥様が60歳から65歳までの夫婦の年金
※奥様の老齢厚生年金の定額部分は64歳以降支給されます。