景気は回復傾向にあるといわれていますが、雇用情勢は、まだまだ厳しい状況のようです。
さて今回は、失業中の国民年金の保険料についてのご相談です。
平成12年5月に書かれたコラムです。現在の法律とは異なる場合があります。ご注意ください。
現在、失業中です。国民年金に加入しなければなりませんが、収入がないので保険料は大きな負担です。保険料を納めないでいると年金がもらえなくなってしまいますか。(男性、既婚、52歳)
会社を退職すれば、国民年金に加入することになりますから、保険料を自分で納めなければなりません。配偶者を扶養している場合には、配偶者の保険料も必要になります。しかし、収入が無くなってしまっては、それどころではないですよね。だからといって「保険料は納めなくて良い。」なんて結論をださないでください。それでは今まで納めてきた保険料も無駄になってしまうのです。
◆保険料を納めていないと年金はもらえない?!
保険料を納めていない期間が長くなればなるほど年金を受け取れない可能性が大きくなります。
例えば、老齢年金は、20歳から60歳までの期間のうち、保険料滞納期間が15年より多い場合、支給されません。
障害年金は、20歳から(障害の原因である傷病の)初診日の属する月の前々月までの期間のうち、保険料滞納期間が3分の1より大きい場合、支給されません。(特例あり。)
遺族年金も、障害年金と同様です。
◆免除申請をしましょう
保険料を納めないと年金がもらえないわけですが、長い人生のうちには保険料を納めることができない場合だってあります。
例えば、相談者のように収入が無くなってしまった場合などです。このような場合には、国民年金の保険料の納付免除の制度を利用しましょう。保険料の納付を免除された期間は、単に保険料を滞納した期間と異なり、年金の受給資格要件になりますし、年金額にも反映されます。(保険料を納めた場合の3分の1の額になります。)また、あとから10年間さかのぼって保険料を納付することができますので、収入が安定してから保険料を納付し年金額を満額に戻すこともできます
◆早めに手続きを
保険料の納付を免除される期間は、申請のあった月の前月からです。それ以前の期間についての免除はありません。せっかく用意さている制度ですから、利用しない手はないですね。さあ、急いで手続きしてください。
免除事由 | ・所得がないとき。 ・本人または家族が生活保護法による生活扶助以外の扶助、その他の援助などを受けるとき。 ・地方税法に定める障害者または寡婦で、年間の所得が125万円以下である場合。 ・その他保険料を納めることが著しく困難であると認められるとき。 |
免除期間 | 申請した月の前月から年度末まで (次年度は再申請が必要) |
手続き窓口 | 住所地の市区町村役場の国民年金課 |
必要なもの | 年金手帳(配偶者も希望する場合は配偶者の分も)印鑑 |
*この原稿は都市住宅新聞社刊「ぱりぶ21」に連載していたものに加筆して再編集したものです。