今回は、あるサラリーマンの奥さんからいただいた、私の年金っていろいろ変わったけど、いったいどうなってるの?というご相談です。主婦必見です。
平成12年4月に書かれたコラムです。現在の法律とは異なる場合があります。ご注意ください。
私は27歳の専業主婦です。20歳から国民年金に加入し、22歳で就職してから結婚して仕事をやめるまでの2年間は、厚生年金に加入していました。
結婚をしてから3年間は、第3号被保険者として国民年金に加入していますが、保険料をまったく納めていません。このまま保険料を納めなくても年金はもらえるのでしょうか。
(女性、27歳、主婦)
年金がもらえるかどうかは、20歳から60歳までのあいだに国民年金の加入期間がどれくらいあるかで判断されます。
例えば、老齢年金をもらうためには、国民年金に25年以上加入する必要があり、たとえ加入していたとしても保険料を納めなかった期間はこの25年間には含まれません。これは、厳密に調査され、たったひと月でも加入期間が足りなければ、国民年金のみならず厚生年金からも年金は支給されないのです。なかなか厳しいですね。
それでは、相談者の年金加入状況を確認してみましょう。
まず、20歳から就職するまでの2年間は、国民年金の第1号被保険者です。この期間は、保険料を自分で納めなければなりません。相談者のように就職前の第1号被保険者期間については、収入がないために保険料を納めずに過ごしてしまう例が多いのですが、相談者の場合には保険料をきちんと納めていたものとして考えます。
次に、就職してから退職するまでの2年間は、厚生年金の被保険者ですから、同時に国民年金の第2号被保険者ということになります。この期間は、保険料がお給料からしっかり天引きされていますから、すべて保険料を納付した期間ということになります。
結婚後、退職してからは国民年金の第3号被保険者です。第3号被保険者は自分で保険料を納めなくても、配偶者が加入している厚生年金や共済組合と国民年金とのあいだで保険料の制度間調整が行われていますので、年金をもらうときには保険料を納めていたものとして扱われます。相談者が、60歳まで第3号被保険者である場合には、今後も保険料を納める必要はありません。ただし、60歳になる前にご主人が退職された場合には、第1号被保険者として保険料を納めることになります。
国民年金の被保険者の種類 | 内容 | 国籍要件 | 国内居住要件 | 年齢要件 |
第1号被保険者 | 第2号・3号被保険者以外の人 (自営業者、学生、無職) |
× | ○ | 20歳以上60歳未満 |
第2号被保険者 | 厚生年金保険や共済年金の被保険者 (サラリーマン、OL、公務員) |
× | × | 上限65歳 (20歳未満でも勤めていれば該当) |
第3号被保険者 | 第2号被保険者の配偶者 | × | × | 20歳以上60歳未満 |
以上から、相談者の年金加入状況は20歳から60歳までの40年間すべてが保険料を納付した期間となり、65歳からは満額の老齢基礎年金とそれに上乗せされた老齢厚生年金が支給されることになります。
相談者の年金加入状況は一般的な主婦の年金加入モデルですが、ここ数年の女性の社会進出はめざましいものがありますし、社会もそれを望んでいますので今後の主婦と年金の関係はもっと変わってくるかもしれませんね。
【相談者の年金加入状況】
*この原稿は都市住宅新聞社刊「ぱりぶ21」に連載していたものに加筆して再編集したものです。