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14.老齢厚生年金(65歳からの老齢厚生年金)

老齢厚生年金は、厚生年金保険の被保険者期間があるひとが、老齢基礎年金を受けられるようになった時に、老齢基礎年金に上乗せする形で支給されます。

<支給要件>

●原則的支給要件

  1. 厚生年金保険の被保険者期間を有すること
  2. 老齢基礎年金の受給資格期間の要件を満たしていること
  3. 65歳に達していること

●受給資格期間の特例

(1) 昭和5年4月1日以前生まれの者の特例
昭和5年4月1日以前に生まれた人は国民年金が発足した当時(昭和36年4月1日)31歳以上であるため、60歳までに25年の受給資格期間を満たすことが困難な場合もあるので、生年月日に応じて受給資格期間が短縮される。

生年月日 受給資格期間
大正15年4月1日~昭和2年4月1日 21年
昭和2年4月2日~昭和3年4月1日 22年
昭和3年4月2日~昭和4年4月1日 23年
昭和4年4月2日~昭和5年4月1日 24年

 

(2) 被用者年金加入期間の特例
昭和60年改正前の被用者年金制度では原則として加入期間20年で老齢(退職)年金が支給されたことから、昭和31年4月1日以前に生まれた者については、被用者年金制度の加入期間だけで20年~24年あれば受給資格期間を満たしたものとされる。


(3) 厚生年金保険の中高齢の特例
旧厚生年金保険法の老齢年金は、40歳(女性は35歳)以後の被保険者期間が15年以上ある者に支給されていたので、新制度でも生年月日に応じて40歳(女性は35歳)以後の厚生年金保険の被保険者期間が15年~19年あれば、受給資格期間を満たしたものとされる。

生年月日 受給資格期間
15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
昭和22年4月1日以前      
昭和23年4月1日以前      
昭和24年4月1日以前 (3)中高齢の    
昭和25年4月1日以前 特例    
昭和26年4月1日以前      
昭和27年4月1日以前    
昭和28年4月1日以前 (2)被用者年金制度の  
昭和29年4月1日以前 被保険者期間の特例  
昭和30年4月1日以前    
昭和31年4月1日以前    
昭和31年4月2日以後 原則的期間

<年金額>

報酬比例の年金(+経過的加算)+加給年金額

●報酬比例の年金額

$$ (\left(平均標準報酬月額\right)\times\left(生年月日に応じて\frac{9.5}{1000}~\frac{7.125}{1000}\right)\times\left(平成15年3月以前の被保険者期間の月数\right)$$
$$+$$
$$ \left(平均標準報酬額\right)\times\left(生年月日に応じて\frac{7.308}{1000}~\frac{5.481}{1000}\right)\times\left(平成15年4月以降の被保険者期間の月数\right))$$
$$\times1.031\times物価スライド率$$

平均標準報酬月額とは被保険者であった期間の各月の標準報酬月額を最近の水準で再評価した平均額

●経過措置

報酬比例部分の給付率が5%引き下げられた結果、年金の額が改正前の計算方法で得た額よりも低くなる場合があります。その場合には、改正前の計算方法で得た額を支給します。

<改正前の計算>

 

$$ (\left(平均標準報酬月額\right)\times\left(生年月日に応じて\frac{10}{1000}~\frac{7.5}{1000}\right)\times\left(平成15年3月以前の被保険者期間の月数\right)$$
$$+$$
$$ \left(平均標準報酬額\right)\times\left(生年月日に応じて\frac{7.692}{1000}~\frac{5.769}{1000}\right)\times\left(平成15年4月以降の被保険者期間の月数\right))$$
$$\times1.031\times物価スライド率$$

●経過的加算

特別支給の老齢厚生年金の定額部分の額が65歳以降の老齢厚生年金の額を下回らないように定額部分と老齢基礎年金との差額を加算することを経過的加算といいます。これによって、65歳になるmで特別支給の老齢厚生年金を受けていた人については、65歳になっても同額の年金額が保証されることになります。

●加給年金額

※ 60歳代前半の老齢厚生年金と同じ。

<支給の繰り上げ>

65歳に達して老齢厚生年金の受給権を有している者が、66歳に達するまでに老齢厚生年金をまだ裁定請求していないときは支給の繰り下げを申し出ることができる。
※ 年金の増加率は老齢基礎年金の繰り下げ増加率と同じ。

<支給の繰り下げ>

65歳に達して老齢厚生年金の受給権を有している者が、66歳に達するまでに老齢厚生年金をまだ裁定請求していないときは支給の繰り下げを申し出ることができる。
※ 年金の増加率は老齢基礎年金の繰り下げ増加率と同じ。


<失権>

受給権者が死亡したとき受給権は消滅する。

掲載日:2015-06-18
本ページの記述は平成14年(2002年)時点の法律に基いています。現在の法律とは異なる場合があります。
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