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Q92.年金制度改正で厚生年金の報酬比例部分の給付…

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質問92.私の父親が、先日成立した年金制度改正に関する新聞記事を見て心配しています。
厚生年金の報酬比例部分の給付水準が5%引き下げられるとのことですが、もしかすると昨年の時点で、厚生年金の特別支給を受けてしまったほうが良かったのかな?と言っています。
会社の社長で年収は1500万円ぐらいあります。いずれ、あと1、2年で定年になることを考えると、会社から受け取る金額を減らしてでも早く申請してしまった方が良いのではとあせっているようです。今回の改正で申請の時期による損得はあるのでしょうか?とりあえず私なりに本を読んだりしてみたのですが、よくわかりません。このHPには、「物価スライドを保障する経過措置のため実際5%の削減が行われるのは2004年度からになりそう」と書いてありましたが、これは、2004年度までに申請したほうが得ということでよいのでしょうか?


回答年金の裁定請求をする時期で損や得をすることはありません。既に年金を受給している人の年金に対しても改正の影響は及びますし、既に裁定済の人とこれから裁定請求する人のあいだに不公平感が生じないための経過措置ももうけられています。
今回の改正によって行われた年金の給付抑制についてまとめてみましたので、ご参照ください。

1.65歳以降の年金について「賃金スライド」の凍結
公的年金制度の年金額を決定するにあたっては、物価上昇にあわせて引き上げを行う「物価スライド」と、それに加えて、現役世代の賃金上昇にあわせて引き上げを行う「賃金スライド」の制度が設けられています。今回の改正で、65歳以上の年金については「物価スライド」のみがおこなわれることになりました。しかし、65歳以前の年金については、「賃金スライド」と「物価スライド」が今まで同様に行われます。

2.老齢厚生年金(報酬比例部分)の5%削減
これには、既に年金をもらっている人の年金額が激減しないための経過措置(スパッと制度を変更すると、いろいろな歪みが生じるのでそれを避けるための措置)があります。
現在、年金を受給している60歳から64歳の人の年金は、賃金スライドをした額から5%カットされた額と、賃金スライドをせずに物価スライドだけをした額の多いほうを選ぶことになります。
これから年金を受ける人も、同じ選択をすることになりますが、今のところ「物価スライドのみ」のほうが「賃金スライドで5%カット」より額が多いので、「物価スライドのみ」が選択されるでしょう。
物価の上昇率と賃金の上昇率の関係から考えると5年後の2004年度あたりで「賃金スライドで5%カット」のほうが「物価スライドのみ」を上回る可能性があるため、結果的に5%削減が行われるのは、2004年度あたりとなりそうです。
なお、現在、年金を受給している65歳以上の人の年金には、原則として5%カットを適用しないこととなってます。

お父様の場合、年金の裁定請求を、改正前、4月現在のどちらの時点で行ったとしても、ある1年間(例えば2005年)にもらえる年金の額は同じ額です。繰り下げに支給による年金額の増加を考えなければ、2004年以降か前かも関係ありません。
ただし、年金を受給する期間が長ければ一生涯における年金受給総額は増えますから、年金を早く受給すればその分得と言えるかもしれません。でも、お父様の年収でしたらお給料を減らしてまで年金を受給することに得はないのではないでしょうか。
(2000.4.16掲載)

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